Last Updated on 2020-08-26 by ラヴリー
タイで日本人男性がタイ女性にヘイト、セクハラの言動を行っていることに抗議して、行いを改めタイ女性に敬意をもって接してほしいという署名が行われています。どのような経過で署名が始まったのでしょうか。そして私たちに何ができるのでしょうか。
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タイの日本人男性に批判署名
初めて知った。
タイで日本人の買春やセクハラ、ヘイトについて署名活動していたタイ人女性が日本人男と見られる人物から匿名の脅迫メールを送られる。残ったメンバーで署名活動を続け、今はタイに住む男性からも賛同者が集まるようになり、署名が約2万5千人分も集まった。https://t.co/lQDSiTRiYr— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) July 4, 2020
Twitterに流れてきたツイートを読んで初めて知ったことを何気なくつぶやいたところ、かなりの反響があったのは、私のようにこのことを知らなかった人が多かったのでしょうか。
署名活動を妨害も
このツイートで紹介した署名活動で中心的に活動していたタイ人女性のもとには、日本人男性とみられる人物から匿名の脅迫メールが何度も届いたのだそうです。署名活動を続けたら彼女自身や家族に害を及ぼすからやめろという卑劣な脅迫です。この女性は実名で活動していたため、身の危険を感じ、その後は活動を控えざるを得ませんでした。
けれどもほかのメンバーが尽力して署名活動は続けられています。この記事を書いている7月4日で署名は2万5千人分集まり、それはバンコクの日本大使館へ届けられるということです。一部の日本人男性の許されない行動を日本大使館や日本人社会が責任をもって監視し、タイの日本人社会への啓発を要望するというものです。
きっかけとなった侮辱動画
タイのバンコクに在住している日本人と見られる中年の男二人が、タイのチェンマイなどで女性へのナンパを行い、どれだけわいせつな事を出来るかを競い合うという低俗な動画をYouTubeにアップし配信。
この動画の内容がタイ世論で大きな問題となり、批判が殺到する事態に。https://t.co/zCqUkPq1Bp— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) July 4, 2020
この署名運動のきっかけとなったのは、二人の日本人男性がYouTubeに投稿した動画です。タイのチェンマイなどでタイ人女性をナンパし、ホテルに連れ込んだりすることができるかを競いあうという女性蔑視的な内容のものだったということです。この動画を見たタイ人から大量の批判が相次ぎました。
また、この署名活動ページには、日本人の既婚中年男性がタイ人女性に月10万円で愛人契約を持ちかけたという話も紹介されています。こういうたぐいの話は一つや二つではなく、日本人男性、特に中年の駐在員の間で比較的よくある話だということです。その中には既婚男性も多いのです。そして、タイだけではなくほかのアジア諸国でもそういうことはあるようです。
日本でも、またどこの国にもこういう輩は少数ながらいるのでしょう。けれども、それを個人の問題として片づけるわけにはいかない背景がタイの日本社会にはあるようです。それを如実に示しているのが『ワイズ』の連載です。
日系ペーパー『ワイズ』の連載
タイの日系フリーペーパー『週刊ワイズ』
タイの若い女性を取材しファッションチェックする『ちゃお! バンビーナ』というコーナーで写真と実名を掲載「いくらきめても時代錯誤のイタイ女」「老け顔」などと、服装や容姿を罵った記事を書いて笑い者にし、日本人向けに配信。https://t.co/dSFjwWiCG7— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) July 4, 2020
タイのバンコクで発行されている日系フリーペーパー最大手『週刊ワイズ』はタイの若い女性を取材してファッションチェックするコーナーを長年連載していました。それは、タイの若い女性の写真と実名入りでファッションや容姿を罵った記事を書いて日本人同士で嘲笑するものでした。
日本語なのでタイ人には分からないだろうと思ったのでしょうが、デマをでっち上げられ被害にあったタイ人女性の中には心を病む人まで出てきました。そのうち批判の声が大きくなり、タイのメディアが取り上げるようになるまで発展したのです。その後ワイズは「謝罪」してこの連載を中止するだけで一件落着としました。
私たちには関係ないのか
この件を聞いて、一部の日本人がやったことで自分には関係ないと思いますか。もちろん、このような行為を行う男性やメディアは許せません。でも、そのことについて知っているのに見て見ぬふりをするほかの日本人はどうでしょうか。
個々の出来事については知らない人も多かったかもしれません。でも、タイの日系フリーペーパー大手がタイ女性を侮辱する記事を長年連載していたということは、それを読んでいた日本人が野放しにしていたということです。
一部の日本人男性が自分ではそうと強く認識もせずに女性にセクハラまがい、または女性の人権を無視するような言動をしてしまうことをこれまで私たちは容認してきたところがあります。最近になって日本でもようやく先進国並みに#MeToo運動のうねりが始まり、男性の間でも女性へのセクハラやヘイトに関する認識が広まってきました。それで、日本国内ではセクハラができなくなり、ほかのアジア諸国でここぞとばかりに羽目をはずしているのでしょうか。 これでは、大日本帝国の植民地主義と変わらなくないですか。
こういう行為をする人の中には「悪気はなかった」という人もいますが、同じことを地位のある女性や欧米諸国ではしませんよね。やってはいけないことだとわかっているから弱者や弱小国と自分たちが思っている国の人に対してだけやるのでしょう。満員電車で女子中高生を狙う痴漢と通じるところがあるように思えます。
署名はこちら
#RespectThaiWomenタイ人女性へのセクハラをやめてください。 – Sign the Petition! https://t.co/M7ymRSVsOp via @UKChange
— ラブリー@news from nowhere (@1ovelynews) July 4, 2020
ここまで読んで「許せない」「日本人として恥ずかしい、何とかしたい」と思ったらあなたも署名に参加しませんか。Change.orgサイトの「#RespectThaiWomenタイ人女性へのセクハラをやめてください。」で署名が行われていて、日本はもちろん、どこにいても署名できます。私もさっそく署名しました。
名前とメールアドレスを入れるだけですが、サイトで署名をした後、そのメルアドあてに確認メールが来るのでそれを確認してクリックするのを忘れないでください。そうしないと署名がカウントされません。
私にも責任がある
イギリスから日本を見ていると日本社会において女性が何かと窮屈な思いをしているのに心が痛くなります。学生時代は満員電車に乗るたびに痴漢にあい、大学入試では女性差別され、就職も不利、結婚すると家事子育て仕事を背負って睡眠時間をけずりつつも、社会一般で「女性」らしくふるまうことを期待される。
私が日本を出てから数十年たってもあまり変わっていないのはなぜなのだろうと不思議ですが、それって結局女性が我慢して耐えてきたから、またはその場しのぎで流してきたから、男性がそれを当たり前に思い疑いもしないのが理由なのだとわかってきました。
おりしも同じ日に下記のツイートが流れてきました。
ジムのエレベーター。老人男性、老人女性、私の順で乗り。すると男性が「三階!」といきなり偉そうに命令したので「自分で押せよ」と言ったら予想外だったのか壮絶に狼狽。しかし私も三階なのでそのまま睨み合いの塩梅に。最終的に老人女性が押してくれたけど、あれ二人だけやったらどうなったん…。
— 川上未映子 (@mieko_kawakami) July 4, 2020
その男性は今までたぶん一度もそういうように扱われたことがなかったので、狼狽したのでしょう。会社でも、社会でも、家庭でも。
奥様はいつもこの男性の世話をし、子供や孫も言うことに従い、会社では部下がご機嫌をとってきたのでしょう。本当なら家庭で内輪の人に「教育」してもらうのが一番いいのでしょうが、長年連れ添った奥様が今更急に扱いを変えるのは難しいだろうし、そんなことして家庭内で切れてしまっても困りますよね。
結局、このように他人が指摘するのが一番いいのかもしれません。
でも、私はこれまでこの老人女性の役割をやっていたんですよ。まあ、多くの女性がそうなのかもしれません。そのほうが早いし、その場の雰囲気を壊す必要ないし、赤の他人の教育をする義務は私にはないよと思うから。
でもそれでは社会はいつまでたっても変わらない。そして、そのような男性の意識や振る舞いは時にはエスカレートしてセクハラやヘイトとなり、日本だけでなく国外にも蔓延してしまう。それを許しているのは私たち女性でもあるのだと責任を感じるのです。
だから、私もエレベーターで「自分で押せよ。」と言える人になります。次に日本に帰るのがいつになるかはわからないけど。