熊本市議会緒方夕佳議員のど飴/赤ちゃん事件海外報道【動画】

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熊本市議会で、緒方夕佳市会議員がのど飴をなめていたことが原因で退席処分となり、議会が8時間止まってしまうという騒ぎがありました。緒方議員と言えば去年議会に生後7か月の赤ちゃんを議会に連れてきたことで注意を受け、話題になった議員です。今回はどういう経過があったのか動画と共に紹介します。この「事件」については国内でも話題になりましたが、イギリスでも複数の一般紙が取り上げるほどの反響だったので、海外の反応についてもご紹介します。


熊本市議会緒方議員のど飴事件

2018年9月28日の熊本市議定例会で、緒方議員は市民からの請願をめぐる質疑をするところでした。質疑のために登壇した際、議長に制止され「何か口にくわえておられますか。」と質問されました。緒方議員が「龍角散のど飴をくわえています。」「のどを痛めておりまして…」と説明しようとしたところ、ほかの議員が騒ぎ始め「臨時休会!」と怒鳴る声が聞こえる騒ぎに。

午前10時から始まった会議は昼頃には終わる予定でしたが、この騒ぎで議会進行は8時間止まってしまったのです。のど飴をなめたことが会議規則の「議員は、議会の品位を重んじなければならない」に触れるとされ、懲罰の対象になるいうこと。ちなみに会議規則には飲食を禁じる条文はないということでした。

緒方議員はこの数日前から風邪をひいていて、咳が出て止まらないことがあったそうで、登壇中にそうした事態にならないようにのど飴を口に含んだということです。これまでに、咳をした際に他の議員から「咳がうるさい」という指摘を受けていたそうです。

議会進行は休止となり、急遽懲罰特別委員会が開かれることになりました。そして、緒方議員に陳謝させることに決まりました。緒方議員は用意された「陳謝文」を読むように言われましたが、それは「自分の言葉ではない」ため、自分で説明すると言いました。それが受け入れられず、さらに懲罰委員会が開かれ、議会への一定期間の出席停止という処分になったのです。

この一連の経過を熊本市議会田上辰也議員がツイートで説明しています。


緒方議員が赤ちゃん連れで市議会出席

Kumamoto City Assembly

Photograph: The Asahi Shimbun/The Asahi Shimbun via Getty Imag

緒方議員は2017年11月に議会に生後7か月の息子を連れてきたことでも話題になりました。そのときも議長から文書で厳重な注意を受けたとして、海外でも報道されています。

緒方議員は自分のような立場のものが議員活動と子育てを両立できるように、市に対して託児所を設けたりベビーシッターをつけたりしてほしいと要請していましたが、願いは聞き入れてもらえませんでした。それで、子育て世代の親の代表として子ども同伴で市議会に出席することで子育てと仕事の両立に困っている人たちの問題について社会の関心を集めたかったのです。

けれども、緒方議員は子どもと共に議場退出を余儀なくされ、議会の進行を40分妨げたとして厳重注意を受けました。その時は「議員活動と子育てを両立できるような仕組みづくりをこれから話し合っていきましょう」との答えをもらったのですが、何も変わっていません。それどころか、このあと熊本市議会では会議規則が変更され、乳幼児など子供を連れた出席は認めないように明文化されました。

この出来事についてはイギリスのBBCやデイリー・テレグラフ、ガーディアンといった一般紙で報道されました。どのメディアも事件の顛末を紹介したあと、日本社会の後進性や働く親への寛容性のなさを非難し、安倍首相は女性の雇用を促進する「ウーマノミクス」を提唱しているのに、実情は何も変わっていないと皮肉たっぷりに語っています。

つい先日もニュージーランドのアーダーン首相が国連に赤ちゃんを連れて出席したことで全世界から祝福の声が上がっていました。それを機会に、これまで政治の場に乳幼児が「出席」している様子を集めた写真がロイターによって報道されました。そして、その中に熊本市議会の緒方母子も選ばれているのです。私はこれを見て誇りに思いました。

とはいえ、上記の報道は実はすべてを語っているわけではないのです。他の場合とは違い、熊本市議会での緒方議員の赤ちゃん連れは歓迎されるどころか、結局退場させられたことをここでは言及していません。けれども、この熊本市議会の対応をニュージーランドアーダーン首相の国連出席時と比べて皮肉っている声もありました。
「ニュージーランド首相が国連の席に初めて赤ちゃんを連れてきたことは実に喜ばしい。それに比べて、11月に緒方議員が熊本市議会に子連れで出席した時は退席させられるという扱いを受けた。」

イギリスメディアの報道

去年の子連れ議会出席と同様に今回ののど飴事件も、遠い日本の市議会で起きた出来事なのに、ほんの数日後にはイギリスの大手新聞数紙が掲載するニュースになっていて、ちょっと驚きました。

まず、10月1日付けのガーディアン紙では’Japanese politician in baby row thrown out again – for sucking cough drop’「日本の政治家がまた議場から追い出された―今度はのど飴で」と、以前赤ちゃん連れで議会に出席しようとして追い出された事件に言及して紹介しています。

熊本市議会の緒方議員に対する態度は去年の赤ちゃん騒動以来かたくなになってきていると説明。彼女は議場で授乳をする許可や、議員、スタッフ、訪問者のために市議会のある建物に託児所を設けるように嘆願したもののかなわなかったこと。彼女が議会に赤ちゃんを連れて出席しようとしたことが公になり、市議会の対応が批判されたことで彼女を恨むものが出てきたこと。そして、年配の男性が多い他の市会議員と彼女の間にできてきたみぞについて語っています。

緒方議員が赤ちゃんを議場に連れて行ったのは働く親、特に母親が直面している問題である「保育所が不足している中、育児と仕事を両立させなければならない」難しさについて考えてほしかったから。「議員になってから取り組んでいる問題である、託児所の整備や家族を持つ親にやさしい職場づくりに焦点を当てるための機会だと思った。」と述べています。

記事は政府が2020年4月までにすべての子どもが保育園に行けるようにするという計画があるにもかかわらず、公営の保育園は不足していると結んでいます。

一方、テレグラフ紙ではJapanese politician kicked out of meeting for sucking cough drops「日本の政治家がのど飴のせいで議場を追い出される」というタイトルの記事が10月1日に掲載。

去年緒方議員が赤ちゃんを取れて議会に出席しようとして退出させられたこととが「世界中でニュースになった」と紹介。同じ緒方議員が同じ熊本市議会で、今度はのど飴をなめるという「無害に思える」行動のために議会の進行が8時間遅れたと伝えています。

大西熊本市長の「責任ある大人が飴を口に入れて質問をするなんてけしからん。謝罪するべき。」というコメントと共に、緒方議員の「風邪をひいていたので咳で迷惑をかけないためにのど飴をふくんでいた」という説明を紹介。

これは、のど飴が許されるかどうかというのが問題ではなく、寛容性のないマナー、規則、上下関係の組織構造にがんじがらめになった日本社会が浮き彫りにされているとしています。

このあと、緒方議員が赤ちゃん連れで議会に出席したことで退席を求められたこと、託児所や授乳の願いを聞き入れてもらえなかったことを紹介したあと、安倍首相の「ウーマノミクス」政策にも関わらず、日本は職場での男女平等が他の先進国に比べ大幅に遅れていると指摘。

また、政治の場でも女性の進出が遅れており、衆議院の女性議員の割合がわずか9%で、193ヶ国中165位だと説明しています。

海外と日本の反応

メディアで流れてきた情報を見る限りでは、のど飴をなめていたことで議会が8時間も中断されるなど、私にはちょっと異常にしか思われません。咳が出て話をするのに困るのなら何ら問題はないはずです。そういえば、去年メイ首相が党大会でスピーチしているときに咳が出て、演壇上にいるメイ首相にハモンド財務大臣がのど飴を渡して、メイ首相がそれをなめながらスピーチを続けたことがありました。

Blomberg

のど飴ごときで注意されるなんて海外から見ると「ばかげた」としか思えない出来事なので、これが日本社会特有の窮屈さを表すエピソードとしてイギリスメディアで紹介されたのでしょう。そして、それを読む人々は日本というのは何て堅苦しい国なんだと内心馬鹿にするのではないでしょうか。

のど飴事件については日本でも同じような感想を持つ人が多かったようですが、そうではない人達もいたようで、そのことに私は少なからず驚きました。「議会で飴をなめるなんて失礼な」「選挙で選ばれた議員がすることではない」といったような意見と共に「議会に赤ちゃんを連れて行くような勝手気ままな議員だからこういうことをする」「また議会をめちゃめちゃにしていい迷惑だ」といった緒方議員に対する攻撃的な意見もあるようです。

緒方議員はこれまでの議会の慣習にとらわれず、自分の信念と議員としての義務のために正しいこと、必要なことについて声を上げていく姿勢が一貫しているようです。そのことで保守的(と見受けられる)熊本市議会の他の議員からは浮いた存在になっているのではないでしょうか。もし、のど飴をなめていたのが他の年配男性議員だったらこのことがこんな問題にはならなかったでしょう。

他の議員から理解を得られない中で、自分の主義主張や同じ立場で苦労をしている働く親のために努力を続ける緒方議員は尊敬に値すると思います。こういう政治家が地道な努力を続けてくれることで、前時代的な日本社会が少しずつでも改善していくとしたら、喜ばしいことですね。

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