ローラのインスタ辺野古基地反対署名の政治的発言に批判、仕事がなくなる?

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Okinawa

モデルでタレントのローラが12月18日にインスタグラムで沖縄の辺野古(へのこ)基地埋め立て工事中止の嘆願書への署名を呼び掛けたことが波紋を呼んでいます。この嘆願書は誰に対して何をお願いするものなのでしょうか?「沖縄のきれいな海を守ろう」というローラの呼びかけなのに、どうして「そんな政治的発言をしたら仕事がこなくなる」と言われてしまうのでしょうか。この問題についてこれまでの経過や背景をわかりやすく説明し、ローラの発言に対するさまざまな反応についてご紹介します。

 

沖縄の辺野古基地問題とは

沖縄には戦後日本政府から過大な基地負担を押し付けられてきた歴史があり、米軍基地活動による騒音、汚染、事故、米兵による暴行事件などの弊害により基地に反対する世論が高まってきました。翁長前県知事は死に至る病と闘いながらも基地問題について取り組んできましたが、今年がんで惜しくも亡くなりました。

新県知事戦では、翁長前知事の遺志を受け継いだ玉城デニーが現政権や公明党などが推す基地擁護派の佐喜眞淳 候補者と 戦いました。 佐喜眞候補を推す与党からは小泉副幹事長や菅官房長官がわざわざ沖縄に駆けつけて応援演説を行うほどの熱の入れようでした。それにもかかわらず 9月30日の沖縄県知事選で玉城候補が圧勝し、これは沖縄県民が基地に「NO」と言った反対意見のあらわれであると受け止められました。

当選後、玉城デニーは新県知事として沖縄の人達の願いをかなえるために政府と話し合うと語り、基地問題を考え直すよう安倍政府と話し合いを続けてきました。 しかし、政府は県知事選での県民の民意を無視して辺野古基地工事を中止するどころか、14日には基地工事の開始を意味する辺野古の海への埋め立てを始めてしまうのです。玉城知事はその日の記者会見で「このような行為は沖縄県民の反発を招き、県民の怒りはますます燃え上がる」と述べました。

嘆願書は誰に何を要望している?

今回ローラがよびかけた嘆願書は日本政府に向けてのものではなく、米国政府に向けてのものです。これまで沖縄県は県外の協力者と共に、政府に基地問題についての話し合いを続けてきていました。しかし県知事選で基地反対を呼び掛けた玉城デニーが当選したにもかかわらず、辺野古基地新設のための埋め立て工事を強行することが明らかになったので、米国政府にも願いを届けようとしているのです。

米国政府には市民がもつ問題意識に基づいて直接請願するため「We The People」というサイトがあります。このサイトに嘆願書を提出し30日内に署名が10万人分が集まると、ホワイトハウスは何らかの対応をするということになっているのです。市民が政府に直接働きかけることができるシステムはアメリカ合衆国ならではの制度ですね。

この嘆願書は米国ハワイ在住の作曲家ロバート・カジワラが英語で提出したものですが、ツイッター上でそれが紹介されるとすぐ拡散され、ツイッター利用者が英語の文章を日本語に訳したり、英語の署名サイトでどのように署名するのか日本語でアドバイスを提供したりといった人々が相次ぎ、フォロワーからフォロワーに広まっていきました。

私が署名した12月10日時点では署名数はわずか1000名くらいで、目標の10万ははるか遠く。ツイッターでも周りの知り合いにも署名を呼びかけましたが、正直言って30日で目標の10万人に到達するのは難しいのではないかと思っていました。

ところが、嘆願書についてのメッセージは次から次に広まっていき、フォロワーの多いりゅうちぇるが呼び掛けてからは一気に拡散されました。ほかにもウーマンラッシュアワーの村本大輔、うじきつよし、ソウル・フラワー・ユニオン、東ちづる、湯川れい子、塚本伸也など数多くの著名人が協力するようになり、署名数はさらに増え、12月18日についに目標の10万人を達成したのです。

ローラの呼びかけ

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この10万人達成には12月18日の朝、ローラがインスタグラムで投稿した辺野古基地埋め立てに関しての下記のメッセージに負うところも大きいのです。

「美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。 名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう」

ローラのインスタグラムのフォロワーは520万人と大きな発信力があります。その彼女がインスタで署名を呼び掛けたことの影響は大きいでしょう。 ローラの署名呼びかけに対しては沖縄県知事の玉城デニーも感謝のメッセージを寄せています。

ローラの呼びかけに対しての批判や心配

ローラが辺野古基地埋め立てをやめるための署名をインスタグラムで呼びかけたことに対しては、賞賛や感謝の声と共に、批判や揶揄するような声も上がっていました。

「タレントが政治的発言するなんて」「ローラは反日左翼芸能人だったのか」「仕事がなくなるんじゃないの」などといったものです。

いわゆる「ネトウヨジャーナリスト」と呼ばれる石井孝明は「日本人でなかったら、内政干渉行為と普通の国では騒ぎになりますけど」などというコメントを載せました。

また、「環境のことを言っているのかもしれないけど、知らないままに政府にたてつくようなことを言って、テレビやCMから干されたらどうするの?」と言うような、ローラを純粋に心配する声もありました。これは辺野古基地のような現政権にとって強い関心のある問題について批判的なコメントをすることで、これからローラの起用を「忖度」する雇用主やスポンサーが出てくる可能性もあることからのものでしょう。

12月20日にはテレビ『羽島慎一モーニングショー』でこの話題が取り上げられ、ローラが署名を呼び掛けたことで「仕事がなくなる心配があるのではないか」とか「CM出演の契約条項にひっかかるのではないか」という声が紹介されました。

ローラはこれまでも批判にさらされた

環境問題についてはローラは以前から関心を持っていて、「使い捨てプラスチックを減らそう」などという発信を続けてきました。 また、ほかにも犬・猫の保護活動であるUNI Projectや地球温暖化対策、野菜動物保護についても取り組んでいるし、熊本地震でもボランティアを行ったり、ユニセフのイベントに参加し1000万円の寄付を行ったりしています。

そして彼女のそのような行動は、そのたびに「売名行為」だとか「偽善者」だと 言われてきました。 去年は彼女のチャリティー活動に対する熱意が所属事務所に理解されず、活動の拠点を米国に移すことになりました。これまでテレビ、CMなどさまざまな芸能活動を行ってきたローラは「天然」とも言われるように、あっけらかんとした言動に人気がありましたが、彼女ももう28歳。最近は環境問題や子どもに関する問題についての活動に力を入れたいと本気で思い始めているようなのです。日本だけで活動していては彼女が本当にしたいことができないのではないかと思ったことも活動の拠点を海外に移したことに影響しているのかもしれません。

彼女がこのように本業である芸能活動以外の社会的、政治的活動に熱心なのは、国際的なバックグラウンドも影響しているのかもしれません。ローラはバングラデシュ人の父と日本人とロシア人の親を持つ母親との間に生まれましたが、1歳でバングラデシュへ引っ越し6歳まで過ごしました。その後両親が離婚し、決して幸せいっぱいな生い立ちではなかったようです。自らが子供時代に味わったつらい経験は彼女が今、環境や子どものために役立つ活動をしたいという思いに強く表れているのでしょうか。

タレントの政治発言は外国では当たり前

日本ではモデルやタレントは社会政治関連の話題を避けて通るのが世の常ですが、日本以外の国ではエンタメ界にいる人たちも積極的に政治や社会活動をします。#Metoo運動がここまで盛り上がったのはハリウッドをはじめとする米国のエンタメ界でオスカーやグラミー賞などの晴れ舞台を利用してセレブが声を上げたことが大きく影響しています。

美男美女カップルで有名なジョージ&アマル・クルーニー夫妻も米国での学校をはじめとする乱射事件を懸念し銃規制運動に多額の寄付をしているし、この運動には歌手のジャスティン・ビーバー、レディー・ガガ、シェールなどたくさんの著名人 が参加しています。 これまで政治の話を避けてきたと言われるテイラー・スウィフトも先の米国中間選挙で自ら誰に投票するかについて明かし、ファンにも投票に行くように促しました。

政治的、社会的活動に熱心なのは欧米のセレブに限ったことではありません。隣国の韓国でも最近、BTSが国連でスピーチをして全世界的に賞賛を浴びました。若者のファンが多いセレブが自分たちの考えを公に発することは、日頃政治や社会的問題に関心がない若い人たちが世界中の重要な課題に目を向けることにつながり、とても影響力を持つ行為なのです。

こういう動きとは対照的に日本ではエンタメ界の有名人が政治的発言をすることをタブー視するのはどうしてでしょうか。翁長前知事がなくなった時、沖縄出身の安室奈美恵が 「お悔やみ申し上げます」というタイトルのホームページで「沖縄のことを考え、沖縄の為につくしてこられた知事のご遺志がこの先も受け継がれることを願っております」と述べたことで批判されたこともありました。

日本で著名人が政治的発言をすることがタブー視されるのは一般的な傾向でもあるけれど、若い女性がすると特に批判されることが多い気がします。男性ならもっと政治的に強い発言をする人はいるし、女性でも吉永小百合や樹木希林が平和問題などについて発言することは比較的受け入れられてきました。けれども、広島出身で戦争被害者を訪ねる取り組みを続けている綾瀬はるかが世界平和について語ると「周囲があ然」という記事になってしまうのです。

こんなところにも、若い女性を自分の考えを持ち表現する人間としてではなく、きれいな鑑賞対象として扱う日本社会の傾向が垣間見えます。そういう環境で育ち仕事をする「女の子」は、自らの考えや意思を内面にとじこめてにっこり微笑まないといけないのだと学ぶのでしょう。そんな殻を破るのは勇気がいることではないでしょうか。

ローラの発言を支持する声

今回の件では、ローラの発言を支持する声、そして彼女の署名呼びかけについての否定的なコメントを批判する声も多く上がっています。高木美保は「芸能人の政治的発言はタブーという考えは変える時代」「ローラの発言はこの国をよくしたいという純粋さのあらわれ」とローラの発言を擁護しました。 そのほかにもSNS上などでローラが自らの政治信念について発言する勇気を称賛する声がたくさん上がっています。

彼女の署名呼びかけを批判したり「干されるのではないか」と心配する声についても「そういう考え方は世界の情勢に反し、有名人が政治的発言をするのをタブー視する時代錯誤的な考えを助長する」とする意見が多くみられます。

辺野古基地問題は私には関係ない?

辺野古基地埋め立てに関しては、これまでの詳しい背景を知らない人にとっては単なる自然保護観点からの問題であるように見えるかもしれません。ローラのメッセージも政治的要素はなく彼女がこれまでも大切に思ってきた環境についての発言という考え方もあるでしょう。

けれども、これまでの沖縄基地における様々な経過を知れば知るほど、この問題は政治的な要素を避けて通れません。基地問題にたいする沖縄対安倍政権という構図がおのずから見えてくるし、県知事選で反基地派が勝ったにもかかわらず、政府が見せつけのように埋め立て工事を急ぐのは 現政権の沖縄県民の願いを無視する姿勢の象徴に見えます。

これまで沖縄の問題について県外では関心を持つ人が少なかったのですが、このことは沖縄の問題にとどまりません。広く地方自治の問題でもあるといえます。県知事選という民主的な方法で県民が示した願いを政府が無視して勝手に国の政策を推し進めるやり方には他県に住む地方の人々にとっての問題であると考えるべきでしょう。

もし、あなたも辺野古基地埋め立て工事反対の署名に協力してみたいと思ったらこちらから署名ができます。

名前とメールアドレスを入れるだけで簡単です。ただし署名したあとで記入したメールアドレスに来る「確認」メールをクリックするのを忘れないでください。これをしないと署名は有効になりません。スマホで署名する人が簡単にできるようにQRコードを紹介している方もいます。

署名をしたら、それだけにとどまらず、SNSや周りの人にも紹介してみませんか。つい10日前は10万の署名なんて無理ではと思っていたのにこんなに集まるのだから、SNSの威力ってすごいと、今さらながら肌で感じています。みんなで声を掛け合ったらさらに人数が集まりそうです。

沖縄基地問題については、日本人だけでなく米国をはじめとする世界中に関心を持つ人たちがいます。その声が米国政府に届き、何らかの影響があるのではないかと期待しています。それと同時に、日本人であるのに自国の政府に声を届けても一方通行で何の進展もないことが悔しくもあります。

(敬称略)

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