エクスティンクション・リベリオンXR「絶滅への反逆」は気候変動対策抗議運動

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2019年4月にロンドン中心部のあちこちを占拠し大規模なデモを行ったエクスティンクション・リベリオン(絶滅への反逆)を知っていますか。ロンドン中心部を混乱に陥らせ、何人もの逮捕者を出したデモにはエマ・トンプソンやグレタ・トゥーンベリも参加していました。このグループが10月にもその規模を広げ、世界各地で抗議デモを行っています。派手な行動をくり広げる彼らは何者?そして、何を目標にこのようなデモを行っているのでしょうか。


エクスティンクション・リベリオンとは

Extinction Rebellion

名前:エクスティンクション・リベリオン

英語:Extinction Rebellion

略称:XR

日本語訳:絶滅への反逆

ロゴ:アワーグラス(砂/水時計)

ウェブサイト:https://rebellion.earth/

Twitter:@ExtinctionR

エクスティンクション・リベリオンは気候変動問題についてよびかけ、それに対する対策を政府ほかに促すための平和的な運動をする活動家の集まりです。

ロゴに使っている砂/水時計は、気候変動のために絶滅の危機に瀕している種にはもう時間がないということを表しています。

どこでいつ始まったのか

エクスティンクション・リベリオンの始まりは古いものではありません。

気候変動に対してイギリス政府に行動を促そうとする有志が2018年10月にロンドンに集まって結成されました。

それから数週間で6,000人が集まり、テムズ川にかかる5つの橋を占拠したのです。

その後、この運動に賛同する人々が次々にあらわれ、イギリスだけでなく、ヨーロッパ、米国など世界各国に飛び火していきました。

彼らはウェブサイトやSNS、メッセージアプリなどを使って情報を拡散し「イマドキ」の環境活動団体のITコミュニケーション化のお手本を見るようです。WhatsApp、Signal、Slack、Zoomなどが駆使され、デモ候補地などはGoogleマップで確認することができます。

エクスティンクション・リベリオンの活動資金はクラウドファンディングや寄付によって募っており、すでに100万ポンド(約1億3000万円)以上の資金を集めています。

誰が運動しているのか、リーダーは?

エクスティンクション・リベリオンが環境運動団体としてユニークなのは、このグループには明確なリーダーはいないということです。また、体系的な組織もなく、その参加者も年齢層から職業まで実に幅広い人達が含まれており、元警察官やオリンピック選手といった人たちも参加しています。エマ・トンプソンやベネディクト・カンバーバッチのような有名人も。

中心的なメンバーには学者や識者も含まれていますが、代表者として名を上げるものはいません。彼らはパワーが中央に集権するトップダウンの組織ではなく、運動に参加するもの一人ひとりが共同で活動していく分散型の組織を目指しています。

さらに、同じ目標を共有する個人やグループを仲間として受け入れ「エクスティンクション・リベリオン」の名を語るのに、中心グループの許可も必要ないといいます。

このような理念に共鳴した人々が世界中で次々とエクスティンクション・リベリオンの支部を作っていて、それはオーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、オランダ、南アフリカ、スイス、米国などに広がっています。

エクスティンクション・リベリオンの目標は

エクスティンクション・リベリオンは地球温暖化は着実に進行していて、もう私たちには時間がないと語ります。

対策のためには、今すぐに政府にこの問題の緊急性を認めさせ、対策を導入させなければならないと主張します。

彼らがあげる主要な目標は下記の3つです。

・地球温暖化や環境問題の緊急性について政府に真実を認めさせ、宣言させる

・2025年までに温室効果ガス(CO2)の排出量をゼロにする

・地球温暖化対策の進捗状況を監視する市民会議を設立する

エクスティンクション・リベリオンの主な行動

エクスティンクション・リベリオンは平和的な行動をする主義を貫いています。

けれども、言わんとする主張を聞いてもらい、たくさんの人にその存在を示すために、ありとあらゆる手段を使って目立つパフォーマンスをするのが特徴です。その結果、時には警察に逮捕されるまでに至ります。

たとえば、デモ行進をしたり、たくさんの人数で都会の道路を占拠することによって、道路交通を遮断させたりします。

また、中には風変わりなパフォーマンスをする活動家もいます。イギリス下院議会の議場でいきなりズボンを脱ぎお尻を出してアピールした者まで出るしまつなのです。

彼らの行動は「目立つ」ことによって一般国民、政府、企業などからの注意を引くことが第一であり、グループは人や物に危害を加えないように「細心の注意を払って行動している」と語っています。

2019年4月ロンドンでのデモ

エクスティンクション・リベリオンが初めて組織的な大規模デモを行ったのは2019年4月のことです。

4月15日から1週間あまりにわたって多くの活動家が参加して、ロンドンのあちこちの場所で様々なデモが繰り広げられました。

道路の真ん中にテントを張って交通を遮断したり、ピンクのヨットを道路に持ち込みデモ参加者が横たわったり。

トラックと自らの体を鎖でつないで簡単に引き離されないようにしたり、強力な接着剤を使って路上や列車に自分の体をくっつける人もいました。

金曜日に学校を休んで「気候ストライキ」をする16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリもスウェーデンから参加して、スピーチをしました。
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また、女優のエマ・トンプソンもアメリカから駆けつけてロンドンのオックスフォード・サーカスでデモに加わりました。

飛行機で来たエマ・トンプソンをスウェーデンから列車を乗り継いでロンドンに来たグレタと比較して「ダブル・スタンダードでは」と批判する人もいましたが。

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このときのデモには活動家だけでなく、一般市民から運動に共感する人々が応援して参加したこともあり、大きく盛り上がりました。

そのおかげでロンドン中心部は交通が遮断され、公共交通機関がストップし、店舗の営業や市民の動きが妨害されて、迷惑を被った人々もかなりいたのも事実。

デモに参加したもののうち、1000人以上が警察に逮捕されました。とはいえ移動せよという警察の命令に従わなかったという理由だけで、すぐに釈放されたようですが。

1週間以上にわたったロンドンでのデモにより、ロンドン警察は750万ポンド(約9億9千万円)の公費が無駄になったと発表しています。

2019年10月のデモは世界中で

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ロンドンでの大規模デモのあとも、エクスティンクション・リベリオンはイギリス各地で小規模な形でデモを行っており、夏の間には、ベルリン、ニューヨーク、パリなどでも活動がひろがっていました。

そして、ロンドン・デモから6ヶ月たった10月に、エクスティンクション・リベリオンは再び大規模なデモを計画してきました。

10月7日からの2週間に行われる運動は「International Rebellion October 2019」という名前の通り、イギリスだけでなく国際的な様相をおびています。

たった半年のうちに、彼らの活動に共鳴して参加するグループが世界中に出てきて、世界56カ国、世界60都市でイベントが予定されているのです。

パリでは10月5日一足先にエクスティンクション・リベリオンのフランス支部によるデモが行われました。

彼らはパリにあるショッピングモールを占拠し、バリケードを築いて地球変動への取り組みについて訴えました。
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このデモにはジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動からも参加者がいたそうです。ジレ・ジョーヌの発端が温室ガス削減のためにマクロンが導入しようとした燃料税値上げだったこととは矛盾する気もしますが。

ロンドンでも消防車から血を模した赤い液体を政府の建物に吹きかけるという離れ業を試みた人たちがいました。

ロンドンでのデモは実に様々な人たちが参加していて、中にはこのようなデモに参加するようには見えないシニア層の女性ばかりのグループも。

「若者には負けちゃおられん」と言わんばかりの彼女たちのロールモデルは、かつて女性参政権のためにデモ活動をしたサフラジェットだということです。


デモが行われたのはロンドンだけではなく、イギリスの各都市、またアムステルダム、ベルリン、マドリッド、シドニーなど世界のあちこちでエクスティンクション・リベリオンのデモが沸き起こりました。

ニューヨークでも大規模なデモが行われ、警察に連行されたデモ参加者が続々と出ました。
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エクスティンクション・リベリオンに対する一般の反応

エクスティンクション・リベリオンは平和的な活動を主義にあげており、今のところはけが人が出たり大きな経済的損失が出ないような運動にとどまっています。それでも、デモが行われる都市では交通が遮断され、公共交通機関がストップしたり、店舗やサービス業に営業上の被害が出て不満も続出しています。

イギリス国内での運動については、今のところ一般のイギリス国民は「風変わりなことをするエコ団体」だとヒッピー・ムーヴメントを見るように黙認しているように見えます。彼らのデモのために通勤や仕事などで直接支障が出るわけでない限りは特に反対するでもないといったふうで、強い批判もあまり聞こえてきません。

自らはこの運動に直接参加はしないものの、彼らの掲げる目標に賛同する人もいて、特に若い人ほどその傾向が高いようです。

2019年4月のロンドンデモのあとYouGovが行った世論調査によると、エクスティンクション・リベリオンが行った気候変動デモを支持する人(濃い青)の割合は反対する人(薄い青)の割合に比べて、年齢層が低いほど多くなっています。

17 April 2019 YouGov Survey : BBC

とはいえ、この運動が世界的に広がることで、様々な考えを持った人々が「XR」の名前のもとに活動し、各地で行われるデモが「平和的抗議」活動の範囲を逸脱してしまう可能性も考えられます。

気候変動問題

2019年9月にはニューヨークで国連気候行動サミットが開催され、温室効果ガス排出量削減のための行動が呼びかけられました。

このサミットに日本からは小泉環境相が参加。石炭火力発電を「減らす」とだけいって具体的な解決策を提供できなかったこともあり、日本は気候変動問題について遅れをとっているという国際認識がさらに強くなりました。

かたや16歳のグレタ・トゥーンベリは、これまで私達の世代が何もしてこなかったおかげで、彼女たちやその子共の世代がつけを払わされるとして、ライフスタイルを変えようとしない大人の世代や確固とした政策を導入しない政府を批判しました。

そんなグレタを「感情的だ」とか「大人にあやつられている」と批判する人たちには日本の「大人」も多く含まれますが、この問題について深くを知ろうともせずに、ただ彼女を「トーン・ポリス」して非難することにはなんの意味もありません。

温室効果ガスによって地球の平均気温が上昇しており、それにつれて極端な異常気象が増えるということは、多くの科学者がほぼ確実であると語っています。気候変動によって海面が上昇し、それによって熱波、豪雨、洪水、台風、ハリケーンなどの異常気象がより頻繁に起こるということに専門家の意見がほぼ一致しているのです。

近年世界のあちこちで起こる異常気象をみていると、その影響は私達が予想していたより早く現れつつあるのかもしれないという不安が押し寄せます。沿岸部にある都市、たとえば東京などの一部は洪水で海に沈むリスクさえあるのです。

それなのに日本では気候変動に対しての関心が低いのが不思議です。

日本は地震国でもあり、自然災害は避けられないものと考え、何世代も先の気候変動による影響より、明日来るかもしれない大地震の不安のほうが大きいということなのかもしれません。

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