伊藤詩織BBC「日本の秘められた恥」レイプ疑惑報道と反応’Japan’s Secret Shame’動画

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ジャーナリスト伊藤詩織のレイプ疑惑事件をイギリスBBCが取り上げ「日本の秘められた恥」(英題:Japan’s Secret Shame)として6月28日にイギリスBBCテレビで放送しました。日本の性暴力、司法や警察、日本政府の対応などに深く切り込んだドキュメンタリー番組は話題をよび、新聞などの各メディアが取り上げました。番組の説明や動画と共に、イギリスでどういう反響があったのかをご紹介します。


(敬称はすべて略しています。)

BBC番組「Japan’s Secret Shame」

「日本の秘められた恥」はイギリス時間で6月28日木曜日、ワールドカップイングランド戦のあとの夜9時から1時間BBC2テレビで放送されました。制作会社「True Vision」が数ヶ月にわたり密着取材したドキュメンタリー番組です。

伊藤詩織のレイプ疑惑事件について、本人だけでなく、関係者や専門家に幅広く取材をした上で、事件についてはもとより、その背景となる日本社会や慣習、司法や制度の仕組み、政治の在り方などに鋭く切り込んだ番組となっています。

伊藤詩織はレイプされたことを「Black Box」という著書で出版していますが、これまで日本ではこのようなテレビ報道はされていないし、新聞をはじめとするメディアでも大きく取り上げられることはありませんでした。

BBC番組「日本の秘められた恥」では、まず背景として日本ではレイプや性暴力被害者が泣き寝入りしがちであるということを指摘し、その理由を説明します。そんな中、伊藤詩織は家族の反対にも屈せず被害者として自ら名乗り出て警察に被害届を出したことを取り上げます。

「私には妹がいて、彼女にそんなことが起きたら?と思い、決心しました。
私が今、言わなければ誰が言うのだろうと思ったのです。」と伊藤詩織は語ります。

レイプ疑惑

2015年4月伊藤詩織は著名なジャーナリスト山口敬之にレイプされたと警察に被害届を出しました。

当時TBSワシントン支局長だった山口敬之に伊藤詩織がインターンのポストがないかどうか問い合わせ、そのことについて話し合うために東京の寿司屋で食事をしました。その時、伊藤詩織は気分が悪くなりトイレで意識を失い、気が付くと山口敬之が滞在していたホテルの一室でレイプされたと主張しています。

番組では山口敬之は疑惑を否定していることも伝えています。彼によると、伊藤詩織は泥酔していて、ホテルでの性行為は同意の上でのことだったと反論していると。山口敬之はこの番組の取材には直接応じていませんが、彼が出演した座談会で伊藤詩織が泥酔していたため仕方なく自分が宿泊していたホテルに招いたと話している様子をネット動画で紹介していました。

警察では

番組では伊藤詩織が被害届を出した警察では男性警官に被害の詳細を証言しなければならなかったことを紹介しました。日本では女性警官の割合がわずか8%にすぎないことも。

ショッキングな話だったのは、伊藤詩織が複数の男性警官の前で、署内のマットに横たわり、等身大の人形を使って強姦事件を再現しなければならなかったことです。

「男性警官が人形を私の上に乗せて上下に動かし、こういう様子だったのかと聞かれた」

番組ではこの捜査方法はセカンドレイプだと指摘しています。

その後山口敬之の逮捕令状が出たにも関わらず逮捕が見送られ、結果的には証拠不十分ということで不起訴処分となっていることが伝えられました。

日本の法律や性教育について説明

番組では日本の刑法では合意があったかどうかは強姦罪の要件に含まれていないことを説明しています。実際に性暴力に合う被害者の多くが恐怖で抵抗できないのにもかかわらず、日本では暴力や脅迫があったと証明しない限りは強姦と認められないのです。

イギリスをはじめとする欧米諸国ではたとえ知人でも合意のない性行為自体がレイプ(強姦)であるということが常識となっていますが、こういうことについて日本の若者は教わっていないということも説明しています。日本では性がタブーとなっているため、表向きで話すことや教えることがないため、若者には基礎的な常識がないのです。

BBCの番組では、日本の強姦罪は2017年まで約110年変わらず、強姦は窃盗より刑罰が軽かったということが日本社会で強姦が軽視されてきたことの表れとして法律家のコメントを紹介していました。

山口敬之は安倍首相に近い人物

番組では山口敬之が事件当時日本の有名テレビ局のワシントン支局長だったと紹介。また、安倍晋三首相を好意的に描いた人物伝の著者でもあることを明かしました。

以前にも紹介したニューヨークタイムズでは、山口敬之と安倍首相の近い関係からこの事件に政治的介入があったと考えられているとしています。

この事件で警察捜査が打ち切られたことについて疑問を持った野党議員が国会で安倍首相に逮捕中止について知っていたかどうかを質問し、首相が個別の事件については知らないと答えている様子も紹介しています。

記者会見

この事件が不起訴処分となったあと、伊藤詩織は検察審査会に申し立てました。そして2017年5月に顔と名前を出して記者会見を開きました。

この後2017年9月に検索審査会は山口敬之を不起訴相当としたため、彼の刑事責任を問うことは不可能になったこと、それを受けて伊藤詩織が民事訴訟で損害賠償を求めていることを番組では紹介しています。

杉田水脈議員を取材

番組は伊藤詩織を批判する人物として自民党の杉田水脈議員を取材しています。杉田議員はネット座談会などで伊藤詩織を批判し、山口敬之を擁護しています。

取材に応じた議員は伊藤詩織が「女として落ち度があった。」と語っています。

「男性の前でそれだけ飲んで、記憶をなくして」
「社会に出てきて女性として働いているのであれば、いやな人からも声をかけられるし、それをきっちり断るのもスキルの一つ」
「男性は悪くないと司法判断が下っているのにそれを疑うのは、日本の司法への侮辱だ」

さらに、伊藤詩織が嘘の主張をしたがために、山口敬之やその家族に誹謗中傷や脅迫メール、電話が殺到していると語り、
「男性の方がひどい被害をこうむっているのではないか」と言っています。

中傷や誹謗

伊藤詩織が受けた批判はもちろんこれだけではなく、ソーシャルメディアなどで厳しい中傷や非難を受けいることも番組では紹介しています。

自分だけでなく家族も中傷にさらされており、伊藤詩織は自宅アパートに帰れなくなったと言っています。彼女は盗聴探知機を買って自宅内を調べるまでに至りました。

日本にも#me tooが広がるか

番組では伊藤詩織の事件だけでなく、広く日本での性暴力の状況や政府の対応について取り上げています。

日本政府は2017年、強姦罪の法律を改正。「強制性交罪」として強姦罪の懲役を3年以上から5年以上に改めました。また、性犯罪・性暴力被害者支援交付金1億8700万円の予算を計上しています。

BBCによると、イギリスでは人口が日本の半分であるのに被害者基金の予算はその40倍であることを指摘しています。伊藤詩織はこのことについて男女共同参画局に質問しましたが、その答えは「検証が必要だろう。」でした。

伊藤詩織は、日本では勇気をもって告発したことで批判と中傷の嵐にあったが、米国や現在住んでいるイギリスでは自分の声を持つ事ができたことで、こうした番組などを通じて日本に変化をもたらす運動ができることに力づけられると言っています。

そしてこう語ります。

「何か動きを起こせば波が起こる。それはいい波のこともあり、悪い波のこともある。
でも、黙っているよりはずっといい。」

番組でも米国ハリウッドから広がった#me too運動を機に日本国内でもセクハラや性暴行に対する理解、伊藤詩織への支持も広まっており、少しずつではあるが日本も変わりつつあることを伝えています。

番組の反響

BBC番組放送後、一般やメディアから次々に反響があがっています。

イギリスメディア

英ガーディアン紙ではレベッカ・ニコルソンが「日本のタブーであるレイプについて語る」とし、プロデューサー兼監督のエリカ・ジェンキンが女性への性暴力や権力に蹂躙される不平等な社会構造を、繊細さと静かな怒りを込めて創り上げた一作だと紹介。

個人的なケースに焦点を当てることでより大きな構造的な問題を鋭く描き、見ていて心が締め付けられるが、それにもまして、勇敢であり重要なドキュメンタリーだと言っています。

英デイリー・メール紙では、モリ―・ローズ・パイクが「レイプ被害を告発したジャーナリストが売春婦と中傷を受けた」として、伊藤詩織に加え、山口敬之と杉田水脈議員の写真を掲載して報道。

伊藤詩織がレイプ被害届を出したが、警察は証拠不十分としたことや伊藤詩織が世間から誹謗中傷にあい、殺人予告まで受け取ったと言っています。
また、自称フェミニストである女性議員が伊藤詩織がいうことは嘘であり、「男性の前で飲酒するのがまちがいだった」と批判したことを伝えています。

また、日本の強姦罪は時代遅れであり、イギリスに比べ被害者が罪を訴えることは珍しいと言及。
伊藤詩織は告発を決心したが、それによって一般の支持を受けるどころか逆に誹謗中傷にあったと伝えました。

英デイリー・エクスプレス紙ではマット・ベイリスが「タブーを破って」として伊藤詩織が過去2年間戦ってきたストーリーを紹介。
イギリスでは1000万人につき510のレイプが報告されているが、日本では10に過ぎない事を伝えます。
伊藤詩織がレイプされたとする山口敬之は安倍首相の伝記作家として著名な人物であると紹介。
日本はセックス産業にまみれた社会であり、ビルボードや雑誌に性的な情報があふれていると言及。
その半面、社会派封建的であり、レイプを告発した伊藤詩織は悪魔として扱われたり、男性からは性的なメッセージが届くようになったと言います。
けれども、彼女と同じような被害を受けた女性からは支持の声が来たとも。

英ザ・サン紙ではジョン・ロジャーズが「伊藤詩織のレイプ疑惑、日本では性犯罪についての法律はどうなっているのか」と題し、伊藤詩織の事件と日本の性犯罪についての法律を紹介。

「日本は警察が性犯罪を捜査する方法などがひどく遅れている。
伊藤詩織の事件によって、政府機関をはじめレイプ報告センターなど、日本の関係機関はこの件に関して全く機能していないことがわかる。
また性暴力に対して偏見が強く、性被害がなかったことにする態度がある。」と言います。

さらに、日本ではレイプ被害者が警察で等身大の人形を使って事件を再現しなければならない事を紹介しています。

英イヴニング・スタンダード紙ではディヴィッド・セクストンが伊藤詩織は日本に変化をもたらすために勇敢に戦う1人の女性だとして紹介しています。
我々は#me too運動が世界のすべての先進国に変化を与えたと思っているが、そんなことはないとして日本の現状を語ります。

日本では痴漢やセクハラ、無理やり性行為に及ぶことは何でもない、よくあることだとあしらわれるのだとレポーター、ジェイク・アデルスタインの声を引用。
日本では#me tooの代わりに#WeTooが使われる、1人で告発するのは難しいからみんなで言おうというわけだと説明していました。

また、伊藤詩織が勇気をふり絞って告発に踏み切ったとき、敵対的なのは男性だけでなく女性もだったと語ります。

そして、伊藤詩織が子供のころから我慢するように言われ続けてきたが、それでは世の中はよくならないことがわかったと決心した過程を説明します。

一般の人の感想

「#JapansSecretShame を見て、とても心を打たれた。あなたが正義を勝ち取ることを願っているし、あなたにはその権利がある。山口が訴追から逃れたとしても、他の被害者のためにも戦い続けてください。それはあなたの国に不滅でとても貴重な変化をもたらすことになるでしょう。」

「日本と聞くと平和的で公平な人々という印象だが、女性がレイプを生きていく中で耐えなくてはならないこととしているなんて信じられない。詩織の成功を祈る。」

「BBC2の番組を見た。レイプされた女性を見下す日本人の態度にショックを受けた。安倍首相は恥を知るべきだ。」

「日本には2度行ってとても気に入っていた。でもこの番組を見てもう行きたくなくなった。日本でレイプや性的暴行の被害者があんなひどい目に合っているなんて知らなかった。」

「伊藤詩織は何て勇敢なのでしょう。もう一人の女性が笑って詩織を責めているのはおぞましい。日本がレイプを嫌悪すべき重大な犯罪として扱っていないのを残念に思う。」

「日本では、レイプにおいて同意の概念があやふやで、ノーがイエスの意味になるようだ。
女性として自分の考えを表すことは女らしくないとされるのです。」

「日本のレイプに関する法律には同意という概念がない。そして、力で強制されたことを証明しないとならないのだ。
レイプは力の行使。レイプは暴力。レイプに同意が存在することはない。」

「この番組を見て、私の行きたい所リストから日本は外れてしまった。
性的暴行を軽くあしらう態度は恐ろしい。警察に女性は8%しかいなくて、レイプ被害者は等身大の人形で事件を再現しなくてはならないなんて。」

女性として、そして元警察官として、ショックで呆然としています。
詩織、あなたは本当のヒーローよ。

「#JapansSecretShame を見てショックで胸がはりさけそうです。私が一番いやなのは、女性が女性を攻撃してること。被害者を支えるんじゃなくて、被害者の女性を責めてる。。犯罪を犯した男を責めるべき!」

「パワフルで感動的で勇気を与えてくれる#JapansSecretShameは日本を近代的な国にしようと闘う1人の女性のまれにみるストーリー。詩織、あなたの追い求める正義を手にすることができますように。」

まとめ

伊藤詩織のレイプ疑惑とその告発において、日本では応援や支持の声もありますが、彼女は批判の対象となることも少なくありませんでした。今でも、SNSなどで彼女に対する誹謗、中傷の声は後をたちません。

水田議員に代表されるように、刑事責任は負われないということでこれ以上この事件について追及するのはおかしいという意見もあります。

けれどもそういう批判をする人が言うように伊藤詩織が嘘を言っているとか、ジャーナリストとしての名声を上げるためにこの件を利用しているということが私には信じられないのです。

伊藤詩織のことはあまり知らないのでジャーナリストとしての実績はともかく、英語が堪能で英語圏でも十分仕事をしていける人物であることには間違いがありません。彼女はこの事件後、日本では誹謗中傷にあい声を上げ続けることができずに国外に出ました。このまま欧米諸国でジャーナリストとして生きていき日本のことなど見捨ててもいいわけです。

過去の忌まわしい事件のことなど忘れ去って自分の能力を認めてくれる外国で自立して生きていく方がよっぽどいいでしょうし、私ならそうするのではないかと思います。

それなのに伊藤詩織があえて、この問題を追及し続け、日本の社会や制度を変えようと努力し続けているのは、自分のため、名声のためではないでしょう。日本のため、日本で同じような被害に遭いつつ泣き寝入りをしてきた多くの同胞のためでしょう。

彼女たちの多くは伊藤詩織のようなキャリアも外国語能力も海外で生活をして行ける自立心もありません。そんな女性たちは過去の忌まわしい思い出をただ忘れ去って毎日を過ごしていくことを考えるしかありません。大きな傷を背負い、時にはそれによって精神的に病みながらも。

そんな多くの女性を代弁して伊藤詩織は「自分がやらなければ誰がやるんだ。」と勇気を持って自らの事件を告発したのでしょう。それをはじめ日本でやろうとして、警察に申し立て、記者会見をして公の場に身をさらし、誹謗中傷を受けながらも耐えながらも突き進んでいきました。

そして、その結果はどうだったでしょうか。私たち日本人は彼女に続いて、彼女と一緒に連帯して、日本社会を、政治を変えることができませんでした。法律が少し変わったとはいえ、セクハラや強姦、いやそれ以前に性的暴行や痴漢、セクハラを軽く見たり、女性を性の対象としてみる傾向を軽視する文化は変わっていません。

それで彼女は米国やイギリスで声を上げるしかなかったのです。

この度、BBCがこういう番組を作って報道したことは決して喜ばしいことではありません。本来なら彼女がそうせざるを得なかった前に私たち日本人が日本でこの問題を解決すべきだったのです。

これで日本の恥がまた一つ、世界にさらけ出され「礼儀正しく親切で、真面目」だとされていた日本の化けの皮がまた一枚剥がれます。そして、外国からの批判によってようやく日本は、政府は、社会はちょっとだけ変わらざるを得なくなるでしょうか。それとも、みんなまた頭を井戸の中に突っ込んで何もなかったふりをしますか?女性はセクハラや痴漢にあっても今まで通り我慢しますか?

この番組がイギリスのBBCで報道される前に、日本人が自分たちでこの問題に取り組むことができなかったということがとても、とても残念です。
けれども、日本にも少しずつ変えようという意識が広がり、運動が芽生えていることには希望を持てます。

番組の中で伊藤詩織が会いに行ったレイプ被害者が語った言葉が印象的でした。

「一滴の水は何もならないが、大量に来たら津波になる、みんなの意識が集まれば、日本を変えることができる」

今こそ、一滴ずつが集まって日本を変えていきましょう。
 
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こちらの動画ですが、観ることができたりできなかったりするようです。
なので、複数のサイトリンクを載せておきます。

nicovideo

英語版 ダウンロード可

日本語字幕付き

Liveleak.com日本語字幕付きPart 1

Liveleak.com 日本語字幕付き Part 2

You Tube 英語版

You Tube 日本語字幕付きPart1

You Tube 日本語字幕付きPart2

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